未来を担う志津川のタコ

西の明石、東の志津川。タコのイラストが描かれたBRT(バス高速輸送システム)で、気仙沼からタコ名産の土地、志津川に着く。仮設の復興商店街で、タコ下さい、と「弁慶寿司」の暖簾をくぐる。志津川産の水ダコの刺身とお寿司を出してもらう。今シーズンは真ダコ、水ダコともに不漁だが、震災直後は潜れなかったこともありアワビは豊漁らしい。
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真ダコより大きく、柔らかい水ダコ。身にはしっかりとした味があり、くさみはもちろんなく、ほんのり甘い。吸盤、皮の部分、身の中心と、部位によって歯応えが変わるのでおもしろい。ワカメの茹でたものとみそ汁も出してくれた。これも三陸特産なので嬉しい。爽やかな磯の風味、しゃきしゃきした歯応え。噛むほどに甘みが出て美味しい。余談だが、タコはアワビを食べ、アワビはワカメを食べる。今回アワビを食べれば食物連鎖を制覇、生態系の神の視点に立てるかと思ったが、アワビは高そうなのでやめておいた。アワビが豊漁なら、きっと次のシーズンはタコも沢山獲れるだろう。
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町民バスで、志津川のキャラクター「オクトパス君」グッズが製作される工房へ向かう。病院帰りのコースらしく、お年寄りで満員のバス。降り際の挨拶に「生き残ったんだから頑張ろうな」などと交わし合うので、不意に生の重みを感じたり。30分ほどで旧入谷中学校の建物を使った工房に着く。オクトパス君だけでなく、主要産業だった養蚕の繭を使ったグッズ、大企業から受注した地元木材を使った小物が作られる。その他有機野菜の農場やハーブ園など併設され、リソース総動員の事業を展開する。工房では地元の人たち30人ほどが雇用されている。作業への集中や同僚との雑談は、気を和らげたり人との結びつきを強めたりという大切な側面も持つ。
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「大所帯で、これだけ発展するとあとはもう町のため、皆のために進み続けるのみである。」と館長。経営者としての気迫が鋭く伝わる。話終えると館長は、窓の外に見える建設中の研修施設に打ち合わせに向かう。農村体験や被災地学習などができる施設は、オープン前から既に国内外からの予約でいっぱいだという。

バス停まで、工房を案内してくれた広報担当の地元のお兄さんが送ってくれる。流されて何もない町を運転していると、いつも震災前の町並みが目に浮かぶ、と言う。「よくも悪くも、被災地として注目が集まっている。今こそ、都会のノウハウとセンスをうまく活用して、復興と地域振興につなげるチャンスなんです。」別れ際にプロジェクトに携わる想いを話してくれた。タコを取り巻く志と熱い想いが、志津川の将来を力強く支える。
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by kokem-omo | 2013-01-13 01:11  

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