わかさぎと流氷

マイナス15度、なのに今日はワカサギ釣りの日。宿で知り合った三人で、厚く凍った網走湖へ向かう。竿や椅子をレンタルし、湖面に穴を空けてもらう。
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地元でのアジやイワシのサビキ釣りと同様、糸を底まで垂らしてから上下に揺らして誘う。竿先が震えると、ゆっくり引き上げる。穴から小さなわかさぎが元気よく出てきて、楽しい。しかし針から外され氷上に置かれると、瞬間冷凍されすぐに動かなくなる…恐ろしい。

とにかく寒い。釣糸に付いた水滴が瞬時に凍り、空いた穴も徐々にシャーベット状に固まっていく。つま先が麻痺し、鼻水が本当に凍る。スターリングラードの戦争映画を思い出し、これは闘いだと自分を勇気づける。二時間で15匹ほど、三人で30匹くらい釣れた。

終わりました、と受付で天ぷらセットをお願いし、休憩所で釣りたてをさっくり揚げる。香ばしいワカサギを口に放り込むと、軽やかな歯ごたえに白身魚特有の甘味が何とも言えない。頭やはらわたから香る苦味がまたいい。至福のひととき、ビールを買い忘れたのが唯一の後悔だ。
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ところで流氷は、初めに接岸した日からずっと見れるようなものではないみたいだ。網走に着くやいなや、その日の流氷は風向きや気温で離れてしまい、ここで触れるのは絶望的な模様だと知らされた。

ならば知床だと、ワカサギ後、列車で斜里へ向かい、そこから世界遺産の知床半島を目指す。網走から知床斜里駅までの車窓では、真っ青の大洋だったオホーツク海。斜里から知床半島のウトロ行バスに乗ると、すぐに流氷で埋め尽くされた海が車窓一面に広がった。
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これが流氷か、美しい。すらりと長身、艶やかな黒髪女性が、青いドレスから透き通った肌をのぞかせているようだ。黒髪女性の海の香りを隣に、ウトロの海岸で悲願のウイスキー流氷ロックで乾杯する。海水でできた流氷の塩味が溶け出て、何とも雄大な味を演出する。氷点下の海岸で喉元から全身が熱くなっていくのがわかる。
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思春期の成長期には段階があると言われる。男になるということも、同じかもしれない。女性を知るだけでは一人前でないとすれば、ここで改めて男になれた気がする。流氷が沖合いから圧し付けられ、きゅうきゅうと鳴いて祝福してくれた。
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by kokem-omo | 2010-02-21 00:40  

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